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今夜のアカデミー賞は

独断と偏見ですが、おそらく作品賞は「アーティスト」

CGから3Dまで技術革新の進む現代に、初期の無声映画を復活させ、新鮮かつ感動さえ与える仕上がり。
1920年代の本場ハリウッドを舞台に、フランス人映画作家が温かい眼差しでオマージュを捧げる、珠玉の作品。
水野晴郎氏の「いやぁ映画って、ほんとうに良いもんですね」という言葉がピッタリ。
解説や理屈抜きで楽しめる作品です。
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by tanatali3 | 2012-02-26 14:36 | 映画

シニアへの誘(いざな)い

「あら?」
チケットを見ながら、カミさんが呟いた。


映画館の料金は$11か、3Dやアイマックスあたりでも$13というのがこの辺の相場だ。
ましてクリスマスから新年にかけてのホリデーシーズンである。高くなることはあっても安くなることはないはずだ。

2011年、元旦。土曜の夕方、シネマ・コンプレックスのチケット売り場は空いていた。

それほど待つこともなく私達の順番がきて、窓口に進んだ。
「“True Grit” 二枚」
カミさんが話す横から
「シニアですよ」
とわたしが付け加えた。

曲がりなりにも、シニア(老人)という意識はまったくないのだが、とりあえずそういう特典があることをふと思い出し、冗談半分に言ったのだ。

ガラス越しの女性は顔色ひとつ変えずに20ドル札を受け取り、3ドルのおつりを返してきた。
その時点で気がつかなかったのだが、もぎりの場所へ歩いていく途中、カミさんがふと気がついたというわけだ。

ここだけの話、カミさんは私より若干(じゃっかん)若い。
ちょっぴり得した気持ちと、シニアに間違えられた悔しさが相まってか、複雑な顔をしていた。女性は幾つになっても若くみられたいということだ。(笑)

映画はジョン・ウエインの晩年に演じた作品のリメイク。
「ファーゴ」などで有名なコーヘン兄弟の製作によるもの。

スクリーンはまさに西部開拓史をめくるように始まった。
蒸気機関車がブレーキをかけながらプラット・ホームに滑り込み、そのまま通りすぎてその先の車止めの前で止まる。映像から、その町が終着駅であるということが判る。
ロングドレスの女性と正装の男性が列車を降りると、彼らの前を列車が逆戻りし始める。
劇場の幕が上がるように、SL機関車がスクリーン上手(左側)に消えてゆき、カップルが歩きはじめる。目の前に広がる目抜き通りの風景にカップルが溶け込んでいく、という幕開けだ。

ストーリーは他を参照してもらおう。
映画はこれぞ正統派という西部劇には欠かせない、お約束のシーンが随所に登場する。

ホテルの前の暗がりのデッキ・チェア。深々と足を手すりに投げ出して座る男。パイプを口に咥え、擦ったマッチの灯りに男の横顔が浮かびあがる。

馬にまたがり荒野を進む追跡行。野宿で、焚き火のシーンは欠かせない。
とっぷり日の落ちた山麓の、粗末な小屋の煙突から立ち昇る青い煙。
小雪舞う灰色の雑木林などなど。

前回観た「アンストッパブル」同様、CGを一切使わない映像は、まさに懐石料理の“炊き合わせ”にも似た“味わい”がある。
それぞれ独立した野菜の持ち味を活かしつつ、ハーモニーを奏でる味わいなのだ。
化学調味料やファーストフードに慣れ親しんだ若者の舌には、その良さが判りにくいかもしれない。

その日は、サスペンス映画として製作されながら、ゴールデングローブ賞ではコメディー部門にノミネートされるなど皮肉たっぷりの「Tourist」も同時上映されていた。
駄作と知りながら、ゴールデングローブ賞へのノミネート疑惑が、逆に鑑賞意欲を駆り立てる。

さてここまでが新年のお噺。

一昨日は、「アイガー北壁」をDVDで。昨日の日曜日は、「KING’S SPEECH」を観た。
「KING’S SPEECH」はアカデミー賞候補の最右翼と目され、なるほどと納得させられた。

日曜日の7時40分開演ということもあり、館内は我々2人の貸切状態だった、とおもいきや、ぼちぼち入場者があって、ほっとした。
観客は我々同様、年配の人たちが多い。

今回のアカデミー賞・最優秀作品賞候補に「ソシャル・ネットワーク」が挙がっていたのだが、最近では「KING’S SPEECH」がそれを追い抜く勢いだ。

理由は簡単だ。アカデミー賞の審査員は、映画監督を始めプロデューサーや俳優、脚本家など映画産業に携わる人々で構成され、その平均年齢は日本同様、高齢化の一途を辿る。
例年、授賞式のなかで、長年の功労を称え特別賞の授与や、追悼の構成フィルムが紹介されるのも当然だ。

わたし達もその年齢に到達しつつあるということなのだろう。
映画館に向かう途中、カミさんが言った。
「わたしたち? もちろんシニアよ!」

女ってやっぱりゲンキン(現金)だ。(笑)
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by tanatali3 | 2011-02-01 16:30 | 映画